「くんちゃんとふゆのパーテイー」ドロシー・マリノ さく/ あらいゆうこ 訳
自然の中の、くんちゃん親子の生活を描いた、くんちゃんシリーズの一作です。
わたしが、このシリーズの好きなところは,空間なのです。色がシンプルのため、絵とおはなしに空間を広げているように感じるのです。どのシリーズも、それぞれ2色。そこが、作家のセンスなのでしょう。 それで、今のクリスマス時期にぴったりの「くんちゃんとふゆのパーテイー」は、赤と黒です。
ふゆごもりを遅らせて、雪をはじめて見たくんちゃんは、大喜び。舞う雪を追いかけてみたり、雪だるまをつくったり。けれども、小鳥たちが、雪のおかげでたべものを見るけることができなくなることを知ったくんちゃんは、たべものをちいさなかごにいくつも用意して、木に吊るします。気持ちの素直なくんちゃんは、森のリスやウサギ、小鳥たちに感謝されます。家の中にはいるとお母さんともみの木を飾ります。ツルコケモモに糸を通していくのです。きらびやかなモールなんかではありません。必然的に自然の恵みを生かしていくのです。おかあさんのクッキー作りをお手伝いして、クッキーが焼けるのを待つ気持ち。帰ってくるお父さんのために星やくま型のクッキーも吊るしていきます。幼いこどもほど、親を喜ばせることに心を傾けるものです。そして、赤いドアが開いて、半開きの向こうにゆきぐまが現れる場面が驚きです。くんちゃんの叫び声と同時に、読み手も、サンタクロースか、ゆきぐまなのか、ふんわりと顔をだした存在に暖かさを感じるのです。
赤と黒と白の、シンプルな味わいがとても利いている場面でもあります。どうぞ、ご覧になってください。
くんちゃんシリーズは、身近な大人に見守られながら、くんちゃんの伸びやかに育っている様子が手に取るようにわかります。愛情があふれ出ている、といったらいいでしょうか。学齢の大きなこどもにも、心が疲れているときに読んでやると安心できるでしょう。忘れかけていた、幸せな自分を取り戻すことができるのが、絵本でもありますね。
他に、「くんちゃんのはたけしごと」「くんちゃんはおおいそがし」「くんちゃんのはじめてのがっこう」「くんちゃんとにじ」があります。わたしは、「くんちゃんとにじ」が大好き。これは、黄色と黒で統一されています。何故、黄色なのか?といえば、おはなしのさいごでわかります!なんて、かわいくてシャレた物語なのかが。 (M)


今の社会では考えられない(あるかもしれないけど)、一昔前の人の心にはこんな暖かい気持ちが誰の胸にもあったのですね。
冬の本としてはスノーマンもおもしろいかもしれませんね。