スイミー☆

resultCIMG0443_2.jpg絵本の紹介 のコーナーでは、このところ、レオ・レオーニーを続けています。この「スイミー」は、みなさんが一番よくご存知かもしれません。レオ・レオーニーの初期に描かれた傑作です。作者の生きた時代は、第二次世界大戦の前後。イタリアでファシズムと戦かったレオ・レオーニーは、家族を連れてアメリカに亡命します。アメリカでも画家として認められ、ニューヨーク近代美術館で個展を開くまでになりますが、1950年から54年にかけての赤狩りで活動できない辛い時期もありました。やがて、デザイン界でも名誉を受け1955年に「あおくんときいろちゃん」を出版します。それから、彼は、絵本作家として世界に知られるようになっていきます。「スイミー」を出版したのは1967年。その後、「フレデリック」というねずみの絵本も発表しました。
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さて、「スイミー」ですが、過酷な時代が描かれています。大きなマグロが小さな魚たちを飲み込み、スイミーだけが生き残るのです。まるで、第二次世界大戦の悲劇をあらわしているようです。そして、わたしたちの世界というのは、いつでも強い権力や勢力に押される弱者が悲鳴をあげています。その中でいきのこったのが、スイミーなのです。スイミーには、使命があります。生き残ったものに与えられている大きな仕事があります。でも、それを自覚するまでには、スイミーはたくさんの旅をしなければなりません。「スイミーは、およいだ くらい うみの そこを。こわかった、さびしかった、とても かなしかった」自分を癒すための旅。自分自身に出会い、本当の自分らしさを発見する旅を泳ぐのです。そのうちスイミーは、美しかったり、面白かったりするものにたくさん出会い元気を取り戻します。この絵本の肝心な場面は、実はこの旅の部分です。水彩の透明度の高い流れるような絵の具の美しさをごらんください。にじいろの ゼリーのような くらげ。スイミーは、弱くちっぽけなだけでなくなり、本物を見分ける(本質)先駆者という目をやしなっていくのです。弱くされたものが、本当の事柄を感じ取れるのです。
resultCIMG0445_1.jpgやがて、自分と同じ小魚が岩の陰にかくれているのに出会います。残念ですが、彼らは、大きな魚がこわくて、世の中に出てこられないのです。わたしたちの日常にも良くある光景ですよね。でも、スイミーは、仲間たちを外の広い世界へと誘い、めげません。昔の逃げ惑っていただけのスイミーではなくなっているのです。スイミーは、共に、本当の平和を築くために、弱い者たちも生き延びていくにはどうしたらいいのかを思索してきたのでしょう。知恵を身につけたスイミーは、赤い小魚の大群の中にまじって、自分は目となり、みんなで大きな魚の格好をして泳ぎ、大きな魚を追い出すことに成功して、話はおわります。
本当のことを見極める 目 というのは、コミュニテイにとって重要なことです。こどもたちは、美しいものや、本当の思いやり、愛に抱きしめられて、知恵者と育っていくことでしょう。それには、弱者の視点からモノをみる姿勢が大切です。そこには本当のやさしさの感性が寄り添っているからです。でも、絵本には、ちっともそんな理屈は描いてありません。作品から、ほんのりとそれが感じられれば充分ですし、そのはず、世界中のこどもたちが、「スイミー」をうけいれてきたのですから。

 
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